書籍・雑誌

2014年4月 9日 (水)

東京難民

2月に映画が公開されていましたが、ちょうど忙しい時期だったので見逃してしまいました。で、偶然目にした原作の方を読んだのですが、とても考えさせられました。。。読んでよかったです。

物語は、一人の大学生の学費未納から始まります。大学を除籍になり、家賃未納で住んでいたマンションを追い出され、紆余曲折を経てホームレスになってしまいます。

その過程の描かれ方がとてもリアルcoldsweats02

通常、学業成績不良の場合は、何度も改善を促されてそれでも駄目だとなったら退学や除籍となりますが、学費未納は即除籍なんだ。。。まあ大学も一種のビジネスだからしょうがない側面もあるんだけど、それってなんとも世知辛い。

住んでいたマンションは、いわゆる家具付きで礼金敷金なしの物件なのですが、ああいった物件は実は賃貸契約ではなく、借りている側の立場が弱い契約になっていて、少しでも家賃が滞るとすぐに追い出されてしまうことがあると聞いています。だらしない人や、収入不安定な人が住む場所としては、メリットもあるけれど、かなりリスクが高いのではないかと。。。

で、そういうところのリアルさもさることながら、主人公があまり賢くないというその賢くなさぶりも、またリアルcoldsweats01

家賃が払えないことを管理会社に正直に伝えて打開策を練るのではなく、有り金をパチンコにつぎ込んであとは知らんぷりとか、ちょっと周りの人から何かを言われるとすぐに酒に逃げたりとか、感情に流されて適切な判断や対応ができなかったりとか、読んでいて「コイツ、アホやのう」と思える箇所多数coldsweats01

でも、今のワタクシは、この主人公の2倍以上の年齢になり、それなりの社会経験と感情抑制と法律知識を身につけているのでそう思えるけれど、20代の頃だったらどうなんだろう???

たぶん、いつそういう状況に陥っても不思議はなかったろうなと思います。なんとか生きてこれたのは、周りの大人たちのサポートだったり、時代や環境がよかったことによるところが大きかったのではないかと。。。改めて、家族、先生、先輩、友人たちに感謝!

そしてふと、近年いろいろな場所で知り合った、比較的若い人たちを思い浮かべると、なんだか心配になってしまうことも。。。確かにこの主人公はかなりのダメダメくんなのですが、それでも格別に群を抜いてダメだというわけではなく、むしろ世の中のマジョリティに近い感じ。その辺が怖いです。

こういう物語は、ずっと優秀でまっとうな人グループの中で生きてきた人こそ、読んでみる価値がある小説なのかもよ?

2013年6月20日 (木)

Inferno

5月半ばに購入した、ダン・ブラウンの「インフェルノ」を読み終えましたhappy01

今回初めてiPadにKindleアプリを入れて電子版を読んだのですが、とても読みやすかったです。

分からない単語があってもすぐに電子辞書を起動して調べられるし、文字の大きさを調整できたり、気になるところにマーカーをつけたり、いろいろできるので、とても楽に読めました。強いて難を言えば、iPadにはそれなりの重量があるので、仰向けで寝そべって読んでいると腕が痛くなること...coldsweats01

今後に向けての希望ですが、作品中に登場する絵や建物の写真とか地図とかを入れてもらえると、さらに楽しい読書体験になるかも。都度都度ネットで調べてもいいのですが、ワイヤレス環境がないところで読んでいるとちょっと不便。紙の本だと、一部分をカラー印刷にするとコスト高になりますが、電子書籍だと関係ないしねwink

で、その「インフェルノ」、すっごくおもしろかったですhappy01

増え続ける人口、それに伴って起きるかもしれない食料や資源の不足、もしそのような枯渇状況になったとしたら人は人間性を維持できるのだろうか、という問いがダンテの神曲と絡んで展開します。エンターテインメントとしても上出来だし、ところどころに入る美術や宗教に関する蘊蓄もおもしろいし、人口と人間性の問題についても考えさせられるし、なかなか読み応えがありました。ロバート・ラングドンシリーズが好きなら読んで損はないです。

英語で読んでそんなに難しくはないけれど(ただし、主人公が美術史教授なのでところどころ無駄にペダンティックな言い回しありcoldsweats01)、人気作家なので、そのうち日本語訳が出るでしょう。。。いや、きっと既に誰かが翻訳中に違いない。。。

2013年5月17日 (金)

ダンブラウンの新作!!!

ダン・ブラウンの新作「Inferno」が、5月14日に発売になりましたhappy01

で、早速アマゾンへ。。。

時差があるかもと思って14日の夕方にアクセスしたら既に販売されているではありませんか! さすがにその時点ではレビューはまだ0件だったけどね。

今回は、紙の本ではなく電子版をダウンロードしました。その方が速くて安くて便利だからhappy01

iPhoneやiPad、Androidスマホをお持ちであれば、Kindleアプリをインストールして、アマゾンで購入した電子書籍が読めてしまうのです。こういう囲い込みじゃない方針って素敵heart もう「うちの端末のみのストア」とか「限定販売」とかいう時代じゃないってcoldsweats01

初めて使うKindleアプリは、iBookとはちょっと勝手が違って最初は戸惑いましたが、すぐに慣れました。英和辞書をダウンロードしたので(無料である)、読みながらすぐにわからない単語を調べられてとても便利。ワイヤレス環境にあれば、グールマップなどで調べものもできて、紙の本を読むのとは違う読書体験ができてとても楽しいhappy01

で、肝心の新作の中身はというと。。。

まだ斜め読みしかしていませんが、どうやら前作同様の展開の様子。ざっくり言ってしまうと「強い信念を持つ個人や団体があり、信念に基づいて起こした行動が世間一般で言うテロだったり犯罪だったりして、当然、秩序を守る組織との間に攻防があるのですが、何故かそこに期せずして巻き込まれたロバート・ラングドン教授が、持ち前の美術や宗教に関する知識を駆使して謎を解明し、世界は危機的な状況から間一髪で救われ、めでたしめでたし」と、そういう話です。

・・・道理でハリウッドで映画化されるわけだcoldsweats01

ただ、毎回、舞台となる都市や、関連する組織や団体、美術や歴史のテーマが異なります。大筋は同じでも、この細部が異なるのでおもしろい。

今回はどうやらフィレンツェからベネツィア、イスタンブールと移動するみたい。そして謎のウイルスが撒かれるらしい。。。そしてテーマはダンテの「神曲」。むふう、今から読み進めるのが楽しみ。

ちなみに、このシリーズでは個人的には Angels & Damons > Da Vinci Code > The Lost Symbol の順で好き。さあて、Infernoはどこに入るかなー?

2013年2月21日 (木)

Death comes to Pemberley

昨年ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」を読んだ後に見つけた、P.D. James による後日譚「Death comes to Pemberley」を読み終えました。

途中までは、「高慢と偏見」のその後が実に上手に語られていてすっごくおもしろかったhappy01 それぞれの登場人物も状況も、まさに原作の続きで全く違和感なく読めました。ほかの P.D. James 作品を知らないので何ともいえませんが、たぶん、本作では文体も変えているようで、一つのセンテンスは長いし、言葉の使い方も現代とはちょっと違うし、まさにジェイン・オースティン風。

で、冒頭で人が一人死ぬ事態が発生し、殺人事件と解釈されて、登場人物の一人が逮捕されて、裁判になり、有罪判決まで出るのですが。。。

なんと判決が出た直後に、真犯人(というか亡くなった人が死ぬに至った経緯を知っている人物)からの手紙が届き、事態は思わぬ方向へっっっ!

...って、ミステリーとしてはどうなのよ、これ???

探偵や警察が活躍する話ではないにしても、それまでの緊張が肩すかしを食らってしまったようで、読んでいてガクっと力が抜けました。いくらその時代、その物語背景としても、今まであまり登場していなかった人から手紙が届いて「実は...」というのはナシでしょう。

その後は、事情の解説があって、誰も悪人にならず、ハッピーエンドでおしまい。ちゃんちゃん。

...ってやっぱりミステリーじゃないcoldsweats01

かといって、原著のように恋愛や結婚がテーマの話でもない。

確かに原作の枠組みの中で話が進むのであれば、悪人もいないし、悲惨な事件もおきないのでしょうが、ミステリーとしても、非ミステリーとしても中途半端な印象を受けました。途中までがおもしろかっただけに、謎解き(?)から先がちょっと残念。

あ、そうそう、P.D. James は「女には向かない職業」を書いた人です。ちょっと昔の作品ではありますが、有名なので、ミステリーファンじゃなくてもタイトルを聞いたことある人が多いのでは? ちなみに、名探偵コナンの登場人物の一人、灰原哀ちゃんの偽名の元になった人物の一人は「女には向かない職業」の主人公ですよ〜(と阿笠博士が言ってた)coldsweats01

2012年10月27日 (土)

今更ながら、ジェイン・オースティンを読む

むかーしむかし、イギリスの留学先で英文学の授業があって、課題図書が何冊か出されました。そのうちの2冊がジェイン・オースティンの「Pride and Prejudice」と「Sense and Sensibility」でした。

既にその2冊を読んだことのある同級生が「すっごくおもしろいよー」と勧めてくれたにもかかわらず、当時のワタシは恋愛モノと思って敬遠しておりました。なんて愚かなことをしたものか...gawk

今になって、ひょんなきっかけで読み始めたらすっごくおもしろい!!!

こんなに機知に富み、プロットが計算されていて、おもしろい小説だとは全く知りませんでした。確かに恋愛はテーマの一つではありますが、それよりも恋愛や家族問題に絡めた人間描写が絶妙で、読んでいて思わずくすっと笑い出してしまうくらい。

しかも、現代の家族に置き換えても通用するキャラクターやストーリーで、ちょっと設定や年齢を変えたら、すぐにでもテレビドラマになりそう。イギリスでは、何度も映画化やドラマ化されているというのも納得ですcatface

最初はiBookから無料ダウンロードした「Sense and Sensibility」をそのまま読んでいたのですが、さすがに200年前の文章だけあって、1つのセンテンスが長いし、言葉の使い方も現代とはちょっと違っていて、かなり読みにくい。当時の生活や社会状況などでわからないところも多々あるし。で、すぐに「Sense and Sensibility」はあきらめて、翻訳版が出ていた「高慢と偏見」(Pride and Prejudiceのほうね)を読みました。すっごくおもしろかったーhappy01

で、次は、P.D. Jamesというイギリスのミステリー作家が「Pride and Prejudice」に題を取って後日譚のような形で書いた「Death comes to Pemberley」を読もうと思って、早速アマゾンで購入してしまいました。ふふふーん、今から読むのが楽しみnote

読書の秋、いいですなあ...confident 食欲の秋でもあるんだけどねcoldsweats01

2012年10月11日 (木)

Far North

一昨日、作家の村上春樹氏が国際交流基金賞を受賞したというニュースが流れました。そして昨日から今日にかけて、ノーベル文学賞最有力とのニュースも流れています。

私自身はハルキストではないのですが、最近、村上氏が翻訳を手がけた本の原著を読み終えました。それがすごい小説でした...catface

Far Northというタイトルの小説で(邦題は「極北」)、シベリアとおぼしき極北の地で、廃墟となった街に一人住む人の物語です。こう書くとハードボイルドなサバイバルものっぽく思われるし、実際にそうなんですが、そう単純なものではなく、人間の持つ愚かさとか、文明の脆さとか、色々なことを考えさせられる内容でした。そして、よい意味で裏切られっぱなしの展開で、すごくおもしろかったです。

ちょうど邦訳が出る前だったので原著を読んだのですが、文章は読みにくかった...bearing 主人公の手記のような形をとっているのですが、その主人公が無骨な人物ということもあり、かなりぶっきらぼうな文体です。しかも、意図的にかなり暗喩的に書いているので、途中意味が分からない所多数。。。

それでも全体を読み終えると、ぴたっとパズルのピースが嵌るように全体像が浮かび上がってくるところがすごかったです。今、最初から読み直していますが、二読目でようやく「なるほどね〜」と合点がゆくところも多数。。。

ちょこっと立ち読みした邦訳は、クリアーな文体て、原著よりほんの少しだけ上品というか、読める文章になっている印象です。ハルキストではないので詳しいところはよくわかりませんが、たぶん村上氏の文体と、この小説が持つ世界観が合っているのではないかと。

それにしても、この小説に書かれたことが将来起こりうるかもしれないと感じられるところが、なんとも不吉です。地球温暖化に伴う食糧難、戦争、略奪によって文明と人口のかなりの部分が失われたらしいという設定になっているのですが、少なくとも地球温暖化は肌で感じられるし(今年の夏は暑くて長かった...)、これがもっと進むと食糧難もあり得る(今年はアメリカで大旱魃)と考えると、ぞっとします。放射能汚染だの、炭疽菌だのも出てきますし。。。

読書の秋に読んでみても損はないと思います〜confident

2012年5月 8日 (火)

The Lost Symbol

Kazuo Ishiguroの「Never let me go」に続いて Dan Brown の「The Lost Symbol」を読みました。発売当初、ネットでの評価はそれほどでもなかったのでペーパーバックが割引価格で手に入るまで待っていましたが、待った甲斐がありましたhappy01 円高と相まって、購入価格以上に楽しませてもらいました。感謝!

この「The Lost Symbol」は、ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズの第3作目。1作目の「Angels and Demons」も2作目の「The Da Vinci Code」も映画化されたのでご存知の人も多いはず。今回も、さすがページターナーと呼ばれるだけあって、読ませます。ハラハラドキドキでおもしろい。

ただ、今作ではラングドン教授がなんか鈍くてイマイチ頭悪そうに思えるのは何故??? トム・ハンクス主演での映画化を想定しているから???(トム・ハンクスがどうみても大学教授に見えないと思うのはワタクシだけでしょうか...)

あとは発売時にネットで物議をかもしていましたが、日系人という設定のCIA高官の名前が雑すぎる。Inoue Satoさんというのですが、井上サトさん? それとも佐藤イノウエさん? どっちが名字でどっちが名前だかわからない〜coldsweats01

さらに、話の展開が前2作とかなり似ていてちょっと残念。強い信念と超人的肉体を持つ敵がいて、そんな敵に捕らわれて死にそうな目に合って(しかし助けられる)、いろいろあって謎を解いて、めでたしめでたし云々。暗号や謎は毎回異なっているのだけれど、敵の造形がどことなくワンパターン。次作では全く異なる悪役造形が出てくることを期待します。

で、引き続き洋モノを読みたい気分なので、次に読む本を物色中〜happy01 オススメあったら教えてね!

2012年2月21日 (火)

Never let me go

ここ最近、意図せずして病気になったり体調を崩したりで自宅で静かにしている(せざるを得ない)日が多いですweep それで久しぶりに文芸書を読んだりしてます。近年、ビジネス書や実用書ばかりを読んでいたので、久々に文芸書を読むと新鮮でおもしろい!

インフルエンザの時に読んでいたのは、カズオ・イシグロの「Never let me go」。映画化され、昨年日本でも公開されたので、ご存知の人もいるはず。

このお話、主人公のアラサー女子の回想という形を取っています。寄宿学校のこと、友達のこと、恋愛のことなど、10歳〜16歳くらいの頃特有の感情の動きが繊細かつ抑制された筆致で語られていて、なんだか懐かしいような切ないような気持ちにさせられます。物語としては、何か起こりそうで、しかし激しいことは何も起こらず淡々と進みます。それでも飽きずに読ませていく書き手の実力がすごい。

ですが。。。

物語の背景はとても残酷。

主人公を含む子供たちは臓器移植を目的に作られたクローン人間で、特殊な環境や教育のために、本人達はそのことを深く認識できていません。結局、大人になると、他の人に臓器を提供し、移植を何度か行って命を失ってしまうのですが、それすらも直接的な表現では語られません。移植のことは donation (寄贈とも読める)、命を失うことは complete (全うするとも読める)と表現されていて、だからこそ一層切なさが際立ちます。

やっぱり、上手な書き手が書いた、よい文章の小説はおもしろいなーhappy01

ちなみに。。。

全く同じ背景の物語を別の人が書いたとしたら、どうなるんでしょうね〜? 医療の闇や移植に伴う裏金を暴く社会派小説とか、移植で亡くなった人の亡霊が出るホラー小説とか、それはそれでおもしろいエンターテイメントになるかも!?!